親知らずの抜歯後、糸が取れたらどうする?対処法を解説します
この記事の監修者
田中 宏幸/歯科医師
医療法人樹翔会 名古屋RD歯科クリニック院長。歯科医師歴20年以上。患者様一人一人に「最良のオーダーメイド治療」を提供すべく、様々なニーズや症例に合わせた自由診療システムを採用している。
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- 日本小児歯科学会、日本再生医療学会、日本インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会、日本臨床歯科CAD/CAM学会など
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・読売テレビ「かんさい情報ネットten.」
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親知らずのを抜歯後、糸が取れたらどうする?対処法を解説します
「親知らずを抜歯後、糸が取れた…どうしたらいいのかな」 こんなときはすぐに歯医者にいくべきか、それとも放置しても問題ないのか、少し迷ってしまいますよね。
そこで今回は、親知らずの抜歯後に糸が取れた場合の対処法について解説します。 さらに、糸が取れる原因や、トラブルを避けるための心構えについてもお伝えしますのでぜひ参考にしてみてください。
親知らずを抜歯後、糸が取れたらどうする?
親知らずを抜歯してすぐに糸が取れた場合はすぐに歯医者に連絡しましょう。 放置することで、出血などのトラブルに発展する可能性があるためです。
状況によっては、傷口から出血している場合は止血剤を入れたり、縫い直したりしなければならないケースもあります。
ただし、親知らずを抜歯後、2〜3日経過して出血が止まっている場合はあまり心配ありません。痛みや腫れもないようなら、放置しても問題ないでしょう。
親知らずを抜歯後、糸が取れるトラブルを避けるための対処法
そもそも、親知らずの抜歯後、糸が取れてしまうのを防ぐには一体どうすればいいのでしょうか?そこで次は、抜歯後に糸が取れるトラブルを避けるために以下の対処法について解説していきます。
- 舌で糸を触らない
- うがいをなるべくしない
- 食事の際は、反対側で噛む
- 歯磨きする際は、優しく磨く
これらの対処法は、親知らずの抜歯後、糸が取れるのを防止するだけでなく、傷の治りを早めるためにも効果的な方法ですので、ぜひ実践してみてください。
舌で糸を触らない
親知らずの抜歯後の糸は、ゆるめに縫われています。 なぜなら、強めに縫うと歯茎が切れてしまう可能性があるからです。舌で糸を触ってしまうと糸が取れる原因となるため、親知らずの抜歯後はなるべく舌で糸を触らないようにしましょう。
うがいをなるべくしない
激しいうがいや、うがいのしすぎは糸が取れる原因につながります。 そのため血が溜まってうがいしたいときでも、軽くゆすぐ程度にとどめておきましょう。 また、親知らず抜歯後の傷は、傷口に血液が溜まり、かさぶたができることで治っていきます。
頻繁にうがいをするとかさぶたができず、出血や痛みの原因になることがあるので注意が必要です。
食事の際は、反対側で噛む
親知らずの抜歯後に食事をすると、食べ物が直接傷口に当たって出血する可能性があります。 場合によっては糸がほどける原因にもなるため、食事する際は、なるべく抜歯したほうの反対側で噛むようにしましょう。 また傷や出血が安定するまでは、硬い食べ物は控えるのが賢明です。 なるべくゼリーやヨーグルトなどの柔らかい食べ物を食べるようにしましょう。
歯磨きする際は、優しく磨く
親知らずの抜歯後、糸が勝手に取れたと感じる場合があります。 その原因の1つが、歯磨きする際の歯ブラシが糸に引っかかって取れてしまうというケースです。 歯磨きする際は力を抜いて優しく磨き、あまり奥まで磨かないようにしましょう。
また歯間ブラシや歯間フロスを使用することもおすすめです。特に親知らず付近は歯ブラシを使わず、歯間ブラシや歯間フロスでケアするとよいでしょう。
親知らずを抜歯後、痛みや腫れがひどくなる理由
親知らずの抜歯後、以下の行動をとることで痛みや腫れがひどくなる可能性があります。
- 薬を飲んでいる期間に飲酒する
- 喫煙する
- 激しい運動を行う。
抜歯後は飲酒や喫煙、激しい運動などを避け、安静にして治療に専念してください。
薬を飲んでいる期間に飲酒する
親知らずの抜歯後は、抗生物質や痛み止めが処方されます。これらを飲んでいるときに飲酒をすると湿疹などの副作用が出てしまい、治療がスムーズに進まない可能性があります。薬を飲んでいる期間は飲酒しないようにしてください。
喫煙する
喫煙をするとニコチンの影響で歯茎の毛細血管が収縮し、傷の治りが遅くなって糸
を取るのが遅れる可能性があります。親知らずの抜歯後は、喫煙を控えてください。
激しい運動を行う
激しい運動をしてしまうと、血液の循環が良くなり、出血がひどくなる可能性があります。 また、お風呂に浸かるのも同様に血流が良くなって出血が進む原因となりうるため、当日は長湯を控えるようにしましょう。
親知らずを抜歯後「糸が取れる」以外のトラブルと対処法
親知らずの抜歯後は「糸が取れる」以外にも以下のようにさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
- 腫れて口が開かない
- 食べかすが詰まる
- 口臭が気になる
- ドライソケット
いざというときに慌てないよう、これらのトラブルが起きたときの対処法についてもあわせて把握しておきましょう。
腫れて口が開かない
親知らずを抜歯すると粘膜や歯茎が腫れる、その影響で口が開けにくくなる可能性があります。 安静にすることで、1〜2週間程度で少しずつ腫れが引いてくるでしょう。くれぐれも激しい運動などをしないようにしてください。
食べかすが詰まる
食べかすが詰まってどうしても気になる場合は、出血が止まっているのであれば、歯ブラシで優しく取り除きましょう。軽くうがいしても構いません。 取り除くのが難しい場合は、無理して取ろうとせず、抜糸の際に歯医者に取ってもらいましょう。無理して取り除こうとすると、糸が取れるトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
また、歯ブラシではなく歯間ブラシや歯間フロスを使用するのもおすすめです。特に親知らず付近はこれらのアイテムを上手く活用するとよいでしょう。
口臭が気になる
親知らずの抜歯後は、歯茎が治るまで浸出液や血液の匂いが気になることがあります。その場合は、イソジンなどの洗口剤を使うとよいでしょう。 アルコール成分が強いものは、痛みが生じる可能性があるため控えたほうが無難です。
ドライソケット
ドライソケットとは、抜歯箇所がかさぶたで覆われず、内部の骨がむき出しのままとなる状態のことです。激痛を伴うことがあり、治療するまで2〜4週間程度かかる可能性があります。
ドライソケットを避けるためには、過度なうがいをせず、抜歯箇所を触らないことが重要です。治療期間を短くするためにも、抜歯後は糸に触らないようにしましょう。
まとめ
今回は、親知らずの抜歯後に糸が取れた場合の対処法について解説しました。 親知らずを抜歯してすぐに糸が取れた場合は、出血などのトラブルに発展したり、治療に遅れが出たりする可能性があるため歯医者に連絡しましょう。 抜歯後2〜3日経過して、出血が止まっている場合ならあまり心配ありません。
親知らずの抜歯後に糸が取れないようにするためには以下のことに気をつける必要があります。
- 舌で糸を触らない
- うがいをなるべくしない
- 食事の際は、反対側で噛む
- 歯磨きする際は、優しく磨く
また、親知らずを抜歯後、飲酒や喫煙、激しい運動などを行うと痛みや腫れがひどくなる可能性がありますので、抜歯後は、安静にして治療に専念してください。 そのほか親知らずの抜歯後は「糸が取れる」以外にもさまざまなトラブルが起こりえますが、大事なのは、抜歯箇所を不用意に触らないこと、そして刺激しないことです。 安心して術後を過ごせるよう、あらかじめトラブルを防ぐための方法や、トラブル発生時の適切な処置を把握しておきましょう。