一度根の治療をした歯に痛みが!痛みの原因、再治療が必要な理由と対処法を解説
「一度根の治療をした所が痛い……。」
「神経が無いはずなのになんで痛みが出るの?」
むし歯が原因で根の治療をして、神経の処置をした歯でも痛みが出る場合があります。
さらに、痛みが出たまま放置すると、炎症が広がり、周囲の歯にも負担をかけてしまうこともあるんです。 そこで今回は、根の治療後に痛みが出る原因や、根の再治療が必要な理由と対処法について詳しくご紹介します。
根の治療をしたのに痛みが出る原因とは
再感染
以前むし歯の治療で根の治療をしたのに、細菌が再感染して痛みが出る場合があります。
根の治療をすると、歯の中には神経がありませんが、根の先が細菌感染をして膿がたまる場合があります。
神経の無い歯は免疫力が低下して、もろくなっていて、膿が排出できずに強い痛みが発生する場合があります。
その場合には、根の先の膿を排出するために、再度根の中を掃除や消毒をして、細菌を減らす再根管治療を行います。
ただし、再根管治療の場合には、成功率は40~80%と1度目の治療に比べると低くなります。 再根管治療で大切なのは、無菌的な処置で、お口の中には多くの細菌が含まれており、唾液の中にも多くの細菌がいます。そのため、再根管治療をする際には、唾液が侵入しないように、根管の中を徹底的に洗浄して、封鎖することが大切です。
かみ合わせが合っていない
むし歯を削った後、詰め物や被せ物をしますが、その高さが合っていないと当たりが強くなるので、痛みの原因になります。今までよりかみ合わせが高くなっている時に痛みが出やすく、調整が必要です。
根の治療が再発する原因とは
根の中に細菌が残っている
根管の治療は細菌との戦いです。根の治療をしている時に唾液が入り込んでしまうと、その中には多くの常在菌が存在しています。
また、免疫力が低下している時に細菌が増えてしまうと、その菌が原因で炎症を引き起こしてしまうことがあります。
根の形が複雑
根の本数は歯の場所によっても違い、根の形は一人一人少しずつ異なり、神経の管は複雑になっています。
大きく曲がっていたり、根が細くなっていたりして、その中の細菌をすべて除去して消毒することが難しい場合もあります。
さらに繰り返しの治療によって、根の本来の形が保たれていない場合も同様です。
特に、根の先の奥深くまで細菌が入り込んでしまった再根管治療の場合には、すべて消毒することが難しく、治療の成功率が低下してしまいます。
手探りでの治療
これまではレントゲン撮影をして根の状態を診ることは出来ても、根の中がどのようになっ
ているか確認はできませんでした。
そのため、根の治療は、歯科医師の経験や勘に頼る部分が大きかったといえます。
しかし、現在はマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用することで、より精密な治療ができるようになっています。
視野を4~20倍に拡大することができ、奥歯であっても明るい照明を利用して根の中を確認することができます。
そのため、根の中に感染物質が残っていないか、根の入り口を探す、神経が細かく分かれて
いないかなど、勘に頼るのではなく、直接確認しながら治療が可能になりました。
根の治療の再発を防ぐには
根の治療においてはさまざまな要因により治療後の再発の可能性があることを解説しました。では、再発を防ぐための治療法はどのようなものがあるのでしょうか。こちらで解説します。
適切な根管治療を行う
マイクロスコープやルーペを使用して、根管を拡大して診ることにより精密な治療ができます。
また、根管治療中に細菌感染してしまう理由が唾液の混入なので、唾液が入らないように「ラバーダム防湿」をすることも有効です。
ラバーダム防湿とは、ゴムのシートで対象の歯を隔離して、唾液が治療中に混入することを防ぎます。
また、初めて神経の治療をする際に、根の治療に精通している歯科医師のもとで、より精密な治療を行うことが再治療を防ぐために大切です。 根の治療は何度も繰り返し行えるものではありません。2度目の治療までに歯を失うかどうかがかかっています。
より的確な充填を行う
根管の中の感染物質が消毒できれいになったら、根の中をすき間なく密閉するように充填します。
しかし、この時、すき間ができてしまうと細菌が入り込みやすくなってしまい、炎症を引き起こす原因になってしまうケースが多いです。
自費治療では、すき間ができにくい充填剤がありますが、比較的高額になります。
歯髄再生治療
歯の神経のことを「歯髄」といいます。
歯の内部にあり、歯に栄養を送る、痛みを感じる役割、むし歯の悪化を食い止める働きをします。
しかし、むし歯が神経の近くまで進行すると、神経を抜く「抜髄」処置を行う必要がでてしまいます。
神経を抜くと、歯がもろくなる、見た目が黄ばんでしまうので、歯を削って被せ物が必要などさまざまな弊害がありました。
そこで、効果を期待できる治療が「歯髄再生療法」です。
神経を抜かなければ痛みが取れない歯に対して、「乳歯」や「親知らず」などの使っていない歯から「歯髄幹細胞」を採取し、神経を失った歯に移植して再生させる方法です。
※根の状況や歯髄幹細胞の状況によって治療が難しい場合もあります。
定期的な検診
定期的な検診を受けていると、自覚症状が出る前に対処ができます。
早めに対処をすることで、細菌感染を最小限に抑えることができますし、根の治療は早ければ早いほど予後が良い傾向になります。
また、クリーニングをしてお口の中の細菌を減らすことが再治療にならないためにも重要です。
毎日のセルフケア
お口の中の細菌を減らして、むし歯や歯周病の予防をすることがいつまでもお口を健康に保
つために大切です。
そのためには、毎日のセルフケアが欠かせません。
歯ブラシだけでは汚れが6割しか除去できないといわれているので、デンタルフロスや歯間
ブラシなどの補助清掃用具を使用して細かい汚れを落としましょう。
まとめ
根管治療はより精密に行えるように、マイクロスコープやルーペを用いて、根の治療に精通した歯科医師に治療してもらうことが再治療の予防につながります。
また、根の治療をする際には唾液が入らないようにラバーダム防湿などの処置をしていると安心です。
そのほかには、根の治療が必要な歯に歯髄を移植する「歯髄再生療法」があります。使っていない親知らずや乳歯の細胞を培養して、神経を失った歯を再生させる治療法です。
患者さまのご希望によって治療の選択肢が変わる場合がありますので、気になっていることやご希望を伝えて、ご自分に合った治療法で歯を長持ちさせましょう。