歯をぶつけたときの応急処置や対処法について解説します

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吉橋 典章/歯科医師

医療法人社団グッドブリッジ 歯のクリニック東京理事長。東京駅前に自由診療専門クリニックを構え、根拠に基づいた的確な治療に努める。デジタル機器や幹細胞を駆使し、歯の神経や歯の保存・再生、インプラント、歯の移植など口腔機能を守ることにこだわり続けている。
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日本顕微鏡学会、国際外傷歯学会、日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本歯内療法学会など
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東京駅前の歯科 | 歯のクリニック東京

歯をぶつけたとき、どのように対処したらいいかご存じですか?歯が折れたり出血したりすると、気が動揺してパニックになってしまう人も少なくありません。そこで本記事では、歯をぶつけた時の応急処置や治療法について解説します。いざというときに備えて、歯をぶつけたときの適切な対処法を知っておきましょう。

 

歯をぶつけたときの応急処置

歯をぶつけたとき、事態を悪化させないために行うべき応急処置は以下の通りです。

 

  • 欠けた歯・折れた歯を保管する
  • 出血時には止血する
  • 患部を冷やす

パニックにならないよう、落ち着いて冷静に対処するよう心がけましょう。

 

欠けた歯・折れた歯を保管する

歯をぶつけた後、歯が欠けたり、折れたりした場合は、その歯を保管しておきましょう。場合によっては、再接着が可能なためです。
歯の保存液や牛乳、体温くらいに温めた生理食塩水などを浸けた状態で保管し、速やかに歯科医院へ持参しましょう。

 

出血時には止血する

歯をぶつけたことで唇や歯茎などが切れ、出血が生じている場合は清潔なガーゼなどで止血をしましょう。
感染を防ぐために、迅速に対応することが大切です。

 

患部を冷やす

歯をぶつけた衝撃で歯茎が腫れ、痛みを感じる場合は、氷を包んだタオルや濡れタオル、冷却シートなどで患部を冷やしましょう。
痛みを感じる箇所の頬の側から優しく当てることが大切です。

 

【症状別】歯をぶつけたときの対処法

歯をぶつけると、以下のようなさまざまな症状が起こり得ます。

 

  • 歯が欠けている
  • 歯がぐらついている
  • 歯が抜け落ちている
  • 歯が変色し、歯肉が腫れている
  • 歯の位置がずれている

上記の状態に陥った場合の適切な対処法を解説します。

 

歯が欠けている

歯の欠けが軽度な場合は痛みを感じにくく、歯周組織や神経への影響も少ないとされています。
しかし、欠けた部分から歯髄(歯の神経)が細菌感染したり、歯肉が腫れたりするおそれもあるため一度、歯科医院を受診しましょう。
場合によっては、詰めものや被せものをしてもらう必要があるかもしれません。
歯の大部分が欠けるなど、神経まで達するような重度の場合は、歯肉の腫れや強い痛みが生じるおそれがあります。欠け方によっては神経の処置を行い、歯を元の形に戻す必要があるでしょう。

 

歯が抜け落ちている

歯が抜け落ちた際、歯の周りの組織損傷が軽微であり、抜け落ちた歯の保存状態が良ければ、再植ができるかもしれません。
抜け落ちてから再植するまでの時間が短いほど、再植の状態も良くなるでしょう。
再植の際は、噛み合わせを確認しながら抜け落ちた歯をもとの位置に戻し、固定します。歯肉から出血が多い場合は、止血が必要です。
抜け落ちた歯が無くなったり、歯根が破折したりして抜歯になった場合は、ブリッジやインプラントなどの治療法で対処することもあります。

 

歯がぐらついている

歯を支える骨や歯根が折れると、歯がぐらつく場合があります。細かく骨や歯根の状態を見るために、エックス線写真を撮る場合もあるでしょう。ぐらつき具合が軽微な場合は、安静にして経過観察することになります。
一方で、大きなぐらつきが見られる場合は、ぐらつく歯の両隣の歯と固定しなければなりません。歯が歯根付近で折れていたり、根が斜めに折れていたりする場合は、抜歯処置になることもあるでしょう。

 

歯が変色し、歯肉が腫れている

歯が赤みを帯び、歯茎が腫れている場合は、神経の中の血管が損傷し、内出血・充血しているおそれがあります。内出血・充血が治れば変色が治まる場合もありますが、徐々に歯の色が黒ずんでくる場合は、歯の神経が死んでいる可能性も考えられます。
放置すると、膿が溜まったり、骨髄炎になったりするため、歯の神経を除去する根管治療を行わなければならないでしょう。

 

歯の位置がずれている

乳歯や生えたての歯の場合、歯の位置がずれ、歯がめり込む場合があります。この場合、歯をもとの位置に戻し、両隣の歯と固定して歯の周りの組織の回復を待ちます。
また、小児の乳歯や生えたての永久歯がめり込んだ場合は、歯根が成熟していないことから、自力で再び生えてくるケースがあるため、無理にもとの位置に戻さず、経過観察となる場合もあるでしょう。
ただし、生え方によっては永久歯に悪影響が及ぶ可能性があるため、定期的にエックス線検査を行い、状態を確認しておくことが大切です。

 

歯をぶつけた後によく起こること

歯をぶつけた後は、歯にひびが入ったり、折れたりすることが多いです。そのほか歯根が折れたり、出血したり、歯の周りの組織にまで影響して脱臼・陥入(めり込む)・脱落したりすることもあります。

 

また、強い衝撃により、歯の変色が起こり、歯の神経が細くなるケースもあります。最悪の場合、神経が死んでしまうこともあるでしょう。

 

歯をぶつけたときは速やかに歯科医院へいこう


歯をぶつけたときは、速やかに歯科医院を受診しましょう。早めに受診することで、治療後の予後が良くなる可能性が高まります。
にこにこ歯科・小児歯科院長(川崎市)小林久乃医師は「外傷は、受傷から治療までの時間が短い方が予後が良い」と述べています。

 

引用:日本歯科新聞「デンタル小町が通る/「外傷」に備えた啓発を」

 

また、時間が経過すると、歯が変色したり、変形したりするおそれがあります。
歯をぶつけた際は、決して放置せず速やかに歯科医院を受診し、適切な処置を受けましょう。

 

まとめ

歯をぶつけた場合、歯にひびが入ったり、折れたりすることがあります。また、場合によっては歯根が折れたり、出血したりすることもあるでしょう。
事態を悪化させないために行うべき主な応急処置は以下の通りです。

 

  • 欠けた歯・折れた歯を保管する
  • 出血時には止血する
  • 患部を冷やす

放置をすると、歯が変色したり、変形したりするおそれが高まります。
歯をぶつけたときは、速やかに歯科医院を受診しましょう。

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