歯科のレーザー治療とは?特徴について解説します
この記事の監修者
田中 宏幸/歯科医師
医療法人樹翔会 名古屋RD歯科クリニック院長。歯科医師歴20年以上。患者様一人一人に「最良のオーダーメイド治療」を提供すべく、様々なニーズや症例に合わせた自由診療システムを採用している。
- 所属学会
- 日本小児歯科学会、日本再生医療学会、日本インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会、日本臨床歯科CAD/CAM学会など
- メディア情報
-
・読売テレビ「かんさい情報ネットten.」
・歯科業界のコミュニケーションマガジン「Dentalism」
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歯科のレーザー治療とは?特徴について解説します
歯科で使用されるレーザーは、さまざまな治療で活用されています。
そこで本記事では、歯科のレーザー治療の特徴やメリット・デメリットを解説します。
レーザー治療を検討している方や、レーザー治療に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
歯科のレーザー治療とは?
歯科のレーザー治療とは、切開・凝固・蒸散などの目的で、患部に対してピンポイントにレーザーを当てて行う治療のことです。電気メスのように電気を発したり、化学物質を発したりすることはありません。発がん性もないため、安全性に配慮された治療法と言えます。
2008年には虫歯治療、2010年には歯周病治療、そして2018年には歯茎などの軟組織の治療において保険適用されるようになりました。そのため、患者さんにとって選択しやすい治療法の1つになっています。
歯科のレーザー治療ではなにができる?
歯科のレーザー治療は、さまざまな用途で利用されます。
主な用途は以下の通りです。
- 虫歯治療
- 歯周病治療
- メラニン除去
- 歯茎整形
- 炎症治療
- 知覚過敏治療
歯医者に相談し、自身の症状に応じて、適切なレーザー治療を受けましょう。
虫歯治療
レーザーを虫歯にかかった箇所に当てることで、虫歯が蒸発でき、除去できます。
除去したあとは、プラスチックを充填して完了です。局所麻酔なしで歯をあまり削らずに治療できることから、患者さんにかかる負担が少ない治療法とされています。
また歯根まで進行した虫歯を治療する際も、レーザーを歯根に当てることで、殺菌効果が得られます。リーマーと呼ばれる器具を使って手作業で清掃するより早く、確実に殺菌できるため、歯根の炎症をいち早く抑えられるといわれています。
歯周病治療
レーザーを歯肉炎になっている箇所に当てて切開し、細菌を除去します。
メスで切開する場合、出血が多くなりますが、レーザーの場合は熱により血液が凝固するため、出血が少なく済みます。
また歯周ポケットにレーザーを当てることで、ポケット内を殺菌・消毒し、歯茎の内側にある肉芽の蒸散や膿の排出を促進する効果が期待できます。結果、歯茎の血行が良くなるため、健康的な歯茎に回復しやすくなるでしょう。
メラニン除去
メラニン色素が沈着して歯茎が黒ずんでいる箇所にレーザーを当てることで、上皮が蒸散されます。その後、新しい上皮が再生されれば、健康的なピンク色の歯茎に戻ります。
歯茎整形
歯茎をレーザーで切開することで、歯肉の高さ(ガムライン)が整い、綺麗に見えるようになります。
炎症治療
口内炎や口角炎、口腔粘膜炎症などに対し、患部にレーザーを当てることで炎症を抑えます。炎症を抑えることで、痛みや腫れがひき、治りが早くなることもあります。
知覚過敏治療
知覚過敏の箇所にレーザーを当てることで、歯の表面に膜ができ、神経が保護されます。
その結果、知覚過敏による痛みが緩和できます。
レーザー治療のメリット・デメリット
レーザー治療にはメリット・デメリットがあります。
それぞれを踏まえた上で、レーザー治療を検討してください。
レーザー治療のメリット
レーザー治療のメリットは以下の通りです。
レーザー治療メリット①|出血を抑えやすい
粘膜や歯茎を切開する場合、出血を抑えやすいです。そのため、治療部位が確認しやすく、処置がしやすい傾向があります。また術後の出血のリスクを低減する効果も期待できます。抜歯やインプラント治療で出血を伴うケースでも、レーザー治療は有効です。
レーザー治療メリット②|負担が少ない
レーザー治療は削る量を最小限にして治療が行えるため、痛みが比較的少ない治療と言われています。虫歯や歯周病治療などでは多くの場合が麻酔なしで治療でき、歯を削る際の音や振動も大きくないため、患者さんにとって負担が少ないです。
レーザー治療のデメリット
レーザー治療のメリットは以下の通りです。
レーザー治療デメリット①|保険適用外になりやすい
虫歯治療や口内炎などの治療の場合は、保険適用になりますが、メラニン色素除去などのほとんどの場合は保険適用外になる場合があります。気になる方は、レーザー治療を受ける歯医者で確認しましょう。
レーザー治療デメリット②|症例によっては治療できないことがある
乳歯の虫歯や小さい虫歯の場合などでしか、レーザー治療を希望しても、対応してもらえないことがあります。また、光アレルギーや光過敏症などの方は対象外になる場合もあるでしょう。
まとめ
歯科のレーザー治療とは、切開・凝固・蒸散などの目的で、患部に対してピンポイントにレーザーを当てる治療法です。レーザー治療の主な用途は以下の通りです。
- 虫歯治療
- 歯周病治療
- メラニン除去
- 歯茎整形
- 炎症治療
- 知覚過敏治療
レーザー治療は、比較的削る量が少なく、痛みが少ないとされています。そのため、麻酔なしで治療できることも多く、削る音・振動や出血も少ないため、患者さんにとって負担が少ない治療法と言えます。
一方で、症例によってはレーザー治療できないケースがあり、保険適用外になることもあります。レーザー治療を受ける際は、メリット・デメリットを踏まえ、レーザー治療が得意な歯科医師に相談してください。