歯科の自費診療とは?保険診療との違いやメリット・デメリットについて解説します
この記事の監修者
土黒 さくら/歯科医師
医療法人社団桜麗会 赤坂さくら歯科クリニック院長。港区赤坂に自由診療専門クリニックを構え、高品質な治療を提案。患者様のお口の「健康と美の維持」を追求し、長期的な安定を目指す。SNSを通した積極的な情報発信活動も行う。- 所属学会
- 日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会、インビザライン認定ドクター
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歯科の自費診療では、自己負担額が10割になる一方でさまざまなメリットがあります。本記事では、自費診療のメリット・デメリットを解説します。今後、歯科の自費診療を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
歯科の自費診療とは?
歯科の自費診療とは、公的な医療保険制度を用いない診療のことです。治療費は各クリニックごとに定められています。
保険診療とは違い、条件や制限がなく、一人ひとりに合った治療法が選択しやすいのが特徴です。
歯科の保険診療と自費診療の違い
歯科の保険診療には、以下3つの特徴があります。
- 診療報酬点数が全国一律である
- 詰めものや被せものなどで使用できる材料や治療方法が定められている
- 自己負担額が1〜3割で済む
一方で、自費診療の特徴は以下の通りです。
- 歯科医院ごとに費用が異なる
- 自己負担額が10割
- 幅広い治療法の中から選べる
自費診療では保険診療に比べ、自己負担額が増えます。
一方で、インプラント治療やセラミック治療などの治療法が選べるため、自身の希望に沿った治療が受けやすいといえるでしょう。
歯科の自費診療のメリット
歯科の自費診療では、保険診療にない以下3つのメリットがあります。
- 治療の選択肢が増える
- 審美性が維持しやすい
- 機能性や耐久性が維持しやすい
それぞれについて、詳しく解説します。
治療の選択肢が増える
保険診療は基本的に、”病名がついたもの”が対象となります。一方自費診療では、病気ではない方の予防処置や検査などが行えます。たとえば、一般的にフッ素を塗布する治療や虫歯の検査、歯のクリーニングなどが該当します。またセラミック製や金属製の被せもの、ブリッジ治療やインプラント治療なども選択可能です。自身の症状や要望に沿った選択肢が選べる点は、自費診療のメリットと言えるでしょう。
審美性が維持しやすい
審美目的で行われるホワイトニングやマウスピース矯正、セラミック治療などは自費診療に該当します。「白く形の良い歯にする」「歯並びを整える」などの見た目を良くする治療を受けたい方におすすめです。
機能性や耐久性が維持しやすい
自費診療では、精密な型がとれる、かつ機能性や耐久性のある材料(セラミックやジルコニアなど)が補綴として使用可能です。機能面では、強い力で噛むことができる、審美的違和感が比較的少ないなどの特徴があります。また、金属アレルギーの方でも使用できる素材も選択できます。
耐久面では、汚れがつきにくく、劣化しにくいのが特徴です。自身の症状や要望に合わせて、良いものを長く使いたいと考える方におすすめです。
歯科の自費診療のデメリット
歯科の自費診療における主なデメリットは以下2つです。
- 費用がかかりやすい
- 歯科医院によって治療内容や費用に差がある
歯科の自費診療を検討する際は、上記のデメリットを把握した上で、歯科医師に相談のうえ、選択しましょう。
費用がかかりやすい
自費診療の場合、公的な医療保険制度が適用されないこと以外にも、以下の理由から保険診療より費用が高くなりやすいです。
- 型取り前の工程や材料が異なるため
- 接着剤が異なるため
- 歯科技工士の作業量が異なるため
それぞれ詳しく解説します。
型取り前の工程や材料が異なるため
自費診療では、土台の境目をはっきりさせるため、歯と歯肉の間に糸を入れていくことがあります。(この糸は圧排糸と呼ばれます。)
保険診療のほとんどの場合、この工程はありません。
また、保険診療と自費診療では型取りの際の材料も異なります。
保険診療で使用する型取り材(印象材)は、海草の寒天から作られており、時間の経過によって変形したり、乾燥したりするのが特徴です。そのため将来的に、詰めものや被せものに隙間が生じ、トラブルの原因になるおそれがあります。
一方で、自費診療で使用する型取りの素材はシリコンで作られているためちぎれにくく、変形しにくいのが特徴です。
このように自費診療は、保険診療よりも作業工程があり、素材も異なるため費用が高くなりやすくなります。
接着剤が異なるため
被せ物を装着する際に使用される接着剤は、被せ物との相性が悪いと、「被せものが外れる」「隙間が生じて虫歯になる」といったことが発生する恐れがあります。
保険診療と比較すると、自費診療で使用されるものは高価なことがありますが、その分被せ物との相性がよく、2次カリエス(虫歯の再発)を防ぎやすいという特徴があります。
歯科技工士の作業が異なるため
保険診療の場合、歯科技工士は限られた予算と時間で被せものを作らなければなりません。一方自費診療では、比較的高価な材料を使用し、歯科技工士の作業量が増えることも多いため、費用が高くなる傾向にあります。ただしその分、より精度が良く、周りの歯に調和する被せ物を作ることができます。
歯科医院によって治療内容や費用に差がある
自費診療の場合、歯科医院によって治療内容や技術力、設備面が異なるため、費用にも差が生じます。たとえば同じ「マウスピース矯正」でも、歯科医院によってかかる費用はさまざまです。なるべく費用を抑えて自費診療を受けたい方は、複数の歯科医院を比較検討する必要があるでしょう。
また、自費診療は保険診療に比べて費用が高く、歯科医院によっても実際に支払う金額に差があるためクレームなどのトラブルに発展する場合があります。
日本歯科新聞によると「自費診療の場合、多額の費用が掛かる分だけ患者の期待値も大きいため、「思っていたのと違う」という理由でのクレームや返金要求などが起きやすい」とのことです。
引用:日本歯科新聞「自費診療のトラブル増加/法律相談費カバーする保険も」
歯科医院を選ぶ際は、事前に口コミをチェックしたり、1度カウンセリングを受けてみたりして、十分に治療内容や負担費用を把握した上で進める必要があるでしょう。
自費診療で活用できる医療費控除とは
医療費控除とは、1年間(1/1〜12/31)に支払った医療費と通院時にかかった交通費が10万円を超える場合に還付金として返還される制度のことです。
容貌を美化するための治療は対象外となりますが、セラミック治療やインプラント治療などの自費診療は対象になります。
費用面の負担を少しでも減らすために、自分にも当てはまるかどうかチェックしてみることをおすすめします。
まとめ
歯科の自費診療とは、公的な医療保険制度を用いない診療のことです。治療にかかる自己負担金額が10割となる一方で、インプラント治療やセラミック治療など自身に合った治療法が選べます。
歯科の自費診療では、保険診療にない以下のようなメリットが存在します、
- 治療の選択肢が増える
- 審美性が維持しやすい
- 機能性や耐久性が維持しやすい
自費診療では、ホワイトニングやマウスピース矯正、セラミック治療といった審美目的の治療が可能です。また、保険診療よりも機能性や耐久性に優れた素材を使用することも可能になります。
一方で、歯科の自費診療における主なデメリットは以下の2つです。
- 費用がかかりやすい
- 歯科医院によって治療内容や費用に差がある
保険診療と比べて、治療に使用する素材が違う、歯科技工士の作業量が増えるなどの点から、費用がかかりやすくなります。
さらに、歯科医院によっても治療内容や費用に差があるため、治療を受ける際は複数の歯科医院を比較検討する必要があるでしょう。
また、医療費控除を申請すると、1年間(1/1〜12/31)に支払った医療費と、通院時にかかった交通費が10万円を超える場合還付金として返還されます。自費診療の負担をなるべく減らしたい方は、自分にも当てはまるかどうか一度チェックしてみてください。