歯内療法とは?適応症例や治療法について解説します

この記事の監修者

アバター画像

吉橋 典章/歯科医師

医療法人社団グッドブリッジ 歯のクリニック東京理事長。東京駅前に自由診療専門クリニックを構え、根拠に基づいた的確な治療に努める。デジタル機器や幹細胞を駆使し、歯の神経や歯の保存・再生、インプラント、歯の移植など口腔機能を守ることにこだわり続けている。
所属学会
日本顕微鏡学会、国際外傷歯学会、日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本歯内療法学会など
メディア情報

・Youtubeチャンネル「歯科の追求 Dr.YOSHIHASHI(JAPAN) 」

https://www.youtube.com/watch?v=iUWEENifzQY

HPリンク

東京駅前の歯科 | 歯のクリニック東京

歯内療法にはさまざまな治療法があり、その方法は患者さんの歯の状態によって異なります。
本記事では、歯内療法の種類について解説します。

歯内療法について知識を深め、自身の歯の状態に合う治療法を選択しましょう。

 

歯内療法とは?

歯内療法とは、歯の内部の治療のことで、主に歯の中心にある歯髄部分に関する治療を指します。
歯髄の一部や全てを除去し、歯を残す治療を行うことは、お口全体ひいては全身の健康につながります。

 

歯内療法の種類

歯内療法は多くあります。
主な種類は以下の通りです。

 

  • 根管治療
  • 再根管治療
  • 歯髄保存療法
  • 再生歯内療法
  • 外科的歯内療法
  • 外傷歯治療

それぞれについて、詳しく解説します。

 

根管治療

根管治療とは、根管内部に存在する虫歯菌が感染した血管や神経を除去し、内部を消毒・洗浄後、薬を詰めて密封する治療法です。
一般的な虫歯治療で行う歯を削るだけの治療法とは異なり、目視しにくい細菌をしっかり除去する必要があるため、難易度の高い治療法とされています。
根管治療が必要な症状は以下の通りです。

 

  • 根尖性歯周炎(歯の根っこ奥である根尖に炎症を起こす)
  • 歯髄炎(歯髄が虫歯の進行によって炎症を起こす)
  • 歯髄壊死(歯髄が死んでしまう状態)

再根管治療

再根管治療とは、以前に行った根管治療の精度が低いことが原因で細菌が繁殖したり、歯根の先端に膿が溜まったりする際に行う治療法です。
さまざまな歯内療法の中でも再根管治療の割合は50%を超えており、成功率は初回よりさらに低くなるとされています。

再根管治療の成功率が下がる理由は2つです。

1つ目は、初回の根管治療で根管の構造が複雑になるためです。
初回の根管治療により、根尖部に穴が空いたり、本来の根管とは異なる場所に道ができたりするとより複雑になります。

2つ目は、処置を繰り返すことで歯が薄くなり、歯が割れる可能性があるためです。
根管治療の処置が繰り返されると歯質が削られるため、歯が薄くなります。
薄くなった歯は、破損のリスクが上がり、もし歯が割れてしまった場合は抜歯の可能性が高まります。

根管治療の精度を上げるためには、マイクロスコープの使用が効果的です。
マイクロスコープを用いることで、肉眼では確認しづらい箇所が確認しやすくなり、歯髄の取り残しを少なくできるでしょう。

また、ラバーダム防湿(根管に細菌を侵入させない方法)をしながら、歯を傷つけないように細菌を除去することも大切です。

 

歯髄保存療法

歯髄保存療法とは、歯髄を保存し、歯髄の機能を維持させる治療法です。
歯髄を維持することで不必要な歯質を削ったり、根管治療を避けることが可能となり、歯が脆くなるリスクを回避します。また、歯根の成長が維持されるため、歯の寿命が長くなることが期待されます。

歯髄保存療法は、虫歯の進行状況によって、以下4つの方法に分類されます。

 

  • 間接覆髄法(歯髄に近接した虫歯があるものの、露髄がなく、歯髄を健康な状態で保存して第三象牙質の形成を促す手法)
  • 直接覆髄法(歯髄まで虫歯が到達して露髄しているものの、歯髄表面を守るための素地を作り、歯髄を保存して第三象牙質の形成を促す手法)
  • 部分断髄法(外傷や虫歯で傷んだ歯髄を部分的に除去し、残った健康な歯髄を保存する手法)
  • 歯頚部断髄法(歯肉より上の歯質部分である歯冠部の歯髄を除去し、歯根部の歯髄を保存する手法)

これらの歯髄保存療法を成功させるためには、細菌感染に配慮した環境づくりと、術前に歯髄の状況を見極め、診断を行うことが大切です。

 

再生歯内療法

再生歯内療法とは、歯髄が死んでしまったことで歯根の成長が止まった歯に対し、特殊な処置を行うことで、歯根の成長を促す治療法です。

意図的に起こした出血と抗菌剤を使用した処置によって、硬組織を作り出し、歯根の厚みと長さを補い、成長を促します。

日本歯内療法学会の細矢哲康国内渉外委員会副委員長(鶴見大学歯学部教授)は、再生歯内療法について「歯髄が死んだ原因と感染の程度によって、治療後の回復傾向が左右される可能性が大きいですが、根管内の血液循環が回復した症例報告も増えてきています。さらに、歯根完成歯に対しても有効である可能性が示唆されており、今後、より効果的な治療方法となると期待されています」と述べています。

 

引用:日本歯科新聞「注目の「再生歯内療法」とは・歯内療法学会の細矢氏に聞く」

 

外科的歯内療法

外科的歯内療法とは、歯根にひびなどが生じたり、歯根の先端が炎症を起こしたりした際に、外科的な方法で症状の改善を図る治療法です。

外科的歯内療法は主に2つあります。

1つ目は、歯根端切除術です。根管治療では改善が見込めない歯根先端部の病巣を除去し、感染の原因となる歯質を除去する方法です。麻酔後、歯肉を開き、顎の骨を削って病巣を摘出し、感染部となる歯根先端部を切除して症状の改善を図ります。

2つ目は、意図的再植術です。歯根端切除術を口内で実施できない場合に、抜歯後、口外で歯根端切除術を行い、もとの場所に抜歯した歯を戻す治療法です。

 

外傷歯治療

外傷歯治療とは、運動時の衝突や転倒、事故などによって外傷を受けた歯に対して行う治療法です。
歯髄を抜いたり、正常な歯髄のみを残して保存したりします。

歯根や歯肉の上の部分でひびや破折が起こった場合や、強い衝撃を受けて歯がぐらついている場合に行われます。

 

歯髄再生治療


歯髄再生治療は、上記で挙げられている根管治療や再根管治療、外傷歯治療などに伴う抜髄の後でも歯髄を再生できる治療法です。

虫歯治療などで失った血管や神経が再生することで、健康的な歯が取り戻せます。

 

まとめ

歯内療法とは、歯の内部の治療のことであり、主に歯の中心にある歯髄部分に関する治療を指します。
歯内療法の種類はさまざまで、主な歯内療法としては以下が挙げられます。

 

  • 根管治療
  • 再根管治療
  • 歯髄保存療法
  • 再生歯内療法
  • 外科的歯内療法
  • 外傷歯治療

上記の他に、失った歯髄を再生させ、健康的な歯を取り戻せる歯髄再生治療も今注目されている選択肢の一つです。

歯内療法を行う際は歯科医師に相談の上、症状の改善のために自身に合った歯内療法を選びしましょう。

一覧に戻る

pagetop