乳歯の生え変わりっていつ?時期や注意すべき点について解説します
この記事の監修者
田中 宏幸/歯科医師
医療法人樹翔会 名古屋RD歯科クリニック院長。歯科医師歴20年以上。患者様一人一人に「最良のオーダーメイド治療」を提供すべく、様々なニーズや症例に合わせた自由診療システムを採用している。
- 所属学会
- 日本小児歯科学会、日本再生医療学会、日本インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会、日本臨床歯科CAD/CAM学会など
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・読売テレビ「かんさい情報ネットten.」
・歯科業界のコミュニケーションマガジン「Dentalism」
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「乳歯の生え変わりっていつ?」このように疑問を持ったことはないでしょうか。
お子様の乳歯がなかなか生え変わらず、心配になる親御さんもいるかもしれません。
そこで本記事では、乳歯の生え変わりの時期や、生え変わりの際に注意すべきことなどを解説します。
お子様の乳歯が無事に永久歯に生え変わるサポートができるように必要な知識を身につけておきましょう。
乳歯の生え変わりの時期は?
乳歯の生え変わりの時期は、6〜12歳ぐらいと言われています。
一般的な生え変わりの順番としては6歳頃に下の前歯から始まり、その後は上の前歯、そして8〜9歳頃からは、奥歯に向かって前から順番に生え変わるとされています。
とはいえ、乳歯の生え変わりの時期は個人差があり、なかなか生え変わらない子もいます。
そのため、たとえ乳歯がなかなか抜けなかったとしても、抜ける順番やタイミングなどを気にしすぎる必要はないでしょう。
乳歯の生え変わりはどのように行われる?
乳歯の生え変わりは、どのようにして行われるのでしょうか。
実は、乳歯の下には永久歯が成長しています。永久歯の根が作られ始めると、乳歯の根を溶かす細胞が出現し、徐々に乳歯の根が溶けていきます。
乳歯の根が溶けてなくなると、ぐらつき始めて抜け落ちやすくなり、抜け落ちてからは永久歯へと生え変わります。
乳歯の生え変わりの時期に歯科医院を受診したほうがいいタイミング
乳歯の生え変わりの時期は、場合によっては歯科医院を受診したほうがいいケースもあります。適切なタイミングとしては以下の通りです。
- 永久歯が生えてこない
- 乳歯が抜ける前に永久歯が生える
- ぶつけて乳歯がぐらつく
上記の状態にどれか一つでも当てはまる場合は、速やかに歯科医院を受診しましょう。
永久歯が生えてこない
乳歯が抜けたにもかかわらず永久歯が生えてこない場合や、大人になっても乳歯が残っている場合、生まれつき歯の本数が足りない「先天性欠如歯」が疑われます。
「先天性欠如歯」は放置すると歯並びが乱れ、虫歯のリスクが高まるおそれがあります。そのほか発音や噛み合わせにも影響を及ぼす可能性があるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
乳歯が抜ける前に永久歯が生える
乳歯が抜ける前に永久歯が生えてくる場合、人によっては裏側や横から生えてくるケースがあります。
この場合、歯並びや噛み合わせが悪くなったり、隙間から細菌が入って歯肉が腫れたりするリスクが生じます。
乳歯の根が永久歯に吸収されず、自然には抜け落ちなくなるおそれがあるため、該当する場合は速やかに歯科医院を受診しましょう。
ぶつけて乳歯がぐらつく
外傷によって乳歯がぐらついている場合も、歯科医院の早期受診をおすすめします。
乳歯が折れてしまったときは、折れた部位や状態によって、抜歯が必要となるケースもあります。
もし折れた部分が根っこであれば、経過観察を行い、根の先が吸収されるまで待つこともあるため、歯科医師の判断を仰ぎましょう。
乳歯の生え変わりの時期に注意すべきこと
乳歯の生え変わりの時期には、主に以下の点に注意する必要があります。
- 乳歯の虫歯を放置しない
- 生え変わった歯の虫歯に注意する
抜け落ちる予定の乳歯であっても、虫歯予防を怠ってはいけません。
また、生え変わった後の永久歯は虫歯リスクが高まるため、虫歯予防には特に配慮しておきましょう。
乳歯の虫歯を放置しない
永久歯は乳歯の下で成長しています。
そのため虫歯になった乳歯を放置した場合、永久歯や歯並びにも悪影響が及ぶおそれがあります。
もし、乳歯が虫歯になったら早期に治療を開始しておきましょう。
生え変わった歯の虫歯に注意する
生え変わった歯は、磨き残しが増えがちになります。また、表面は粗く、汚れが付着しやすい上に酸に溶けやすいため、虫歯のリスクが高まります。
そのため丁寧に歯磨きをしたり、フッ素を活用して虫歯予防をしておくことが大切です。
乳歯の生え変わりの時期に治しておきたい癖
乳歯の生え変わり時期に、もしお子さんに以下のような癖がある場合は治しておきましょう。
出っ歯になったり、歯並び全体に悪影響が出たりするおそれがあるためです。
- 指しゃぶり
- 口呼吸
- 爪を噛む
- 舌癖(歯の隙間に舌を入れ込むなど)
実際に、ライオン(掬川正純社長)と弘前大学(福田眞作学長)、青森県黒石市が共同で行った研究によると「睡眠時に「口がよく開いている」「時々開いている」という子供は、叢生になっているケースが多かった」とされてます。
叢生とは歯が重なり合ってデコボコしている歯並びのことで、このことから口呼吸は歯並びに関係していることがうかがえます。
引用:日本歯科新聞「小学校5年生と6年生、歯列不正が約5割」
抜ける乳歯の細胞を保管するという選択肢も
抜ける乳歯には、再生医療などへの応用が期待される幹細胞が豊富に含まれており、国内ではこの幹細胞を冷凍保管するサービスも始まっています。
抜ける乳歯を捨ててしまうのではなく、未来のために冷凍保管する、という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
乳歯の生え変わりの時期は、6〜12歳ぐらいといわれていますが、その時期には個人差があり、なかなか生え変わらない子もいます。
そのため、たとえ乳歯がなかなか抜けなかったとしても、抜ける順番やタイミングなどを気にしすぎる必要はありません。
しかし、乳歯の生え変わりの時期を超えても永久歯が生えてこなかったり、乳歯が抜ける前に永久歯が生えたりする場合は注意が必要です。
乳歯がぐらつく場合も、歯が折れていないかを確認する必要があります。
乳歯であっても、虫歯予防のために歯磨きを毎日行ったり、フッ素を塗ったりすることは大切です。
また、生え変わった後の歯は虫歯のリスクが高まるため、より一層注意しましょう。